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江蘇省での化学品関係事故の余波

金盛貿易(上海)有限公司

 

 今年3月に中国江蘇省では化学工場の爆発事故が相次ぎ、政府は化学工場に対する規制を大幅に強化しています。実施時期や内容が緩和されるとの観測もありますが、江蘇省内の化学メーカーの数を削減させる方向に変化はなく、今後の動向に注意が必要です。

 

3月におきた2件の爆発事故

 2019年3月21日に、江蘇省塩城市響水県の陳家港化学工業パーク内にある江蘇天嘉宜化工有限公司で爆発事故が発生。78名の死亡確認、600名程度が負傷。つづく3月31日に、江蘇省昆山にある電子部品製造工場で爆発があり、7人が死亡、5人が負傷。

 

 中国国内のサイトからの情報を整理すると、「江蘇天嘉宜化工有限公司」は過去に環境保護問題により2018年5月に行政処罰を受けており10万元の罰金を支払っていたようです。

 企業情報提供サイト「天眼査」は、「『第一回全国中央監査』後の事後対策状況再確認作業にて、江蘇省は『査察後の対策推進がおざなりになっている』と批判されている」ことから、「これまでのような簡単な処罰では済まないだろう」と結んでいます。

 

江蘇省政府による規制の厳格化

 4月1日から江蘇省のすべての工業園区は、すべての所属企業に対して再度対策状況を把握するようにとの通達を受けているようです。

 また「天眼査」は、「環境、危険化学品・危険貨物の安全問題は単なる対策云々の話ではなく、『社内のガバナンス上の欠陥』と考えるべきであり、企業としてのコンプライアンスの問題」と結んでいます。

 

 今年に入ってまだ4ヶ月ですが、上海だけでも既に日系上場企業10社ほどが環境保護に関する行政処罰を受けているようです。

 

 4月8日に江蘇省政府は、省内の化学企業を現在の4分の1となる1000社程度まで削減することなどを盛り込んだ政策意見をまとめました。これは、化学園区外に所在したり、長江流域や人口密集区に位置する企業を淘汰することなどを柱としていますが、これまでよりも厳しい内容です。

(具体的な内容は、JETROの記事をご参照ください。
 https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/04/80d4e0a2c613afa6.html

 

 ただ、4月15日には8日に打ち出した政策への反響の大きさを考慮し、江蘇省政府は、修正を検討し始めました。実施期限を遅らせ、削減規模も緩め、地区ごとの個別事情に即した現実的な対応を模索するようです。ただ、削減していく方針に変更はなく、政府計画の落としどころに注目が集まります。

 

金森産業の上海現地法人である金盛貿易(上海)有限公司では、危険化学品経営許可証を取得し、危険化学品を適切に取り扱える体制を整えています。中国では、日本の危険物や劇物・毒物に該当しない物質でも危険化学品と分類される場合があります。中国国内の化学品の取扱いは、金盛貿易にご相談ください。